法務局における遺言書の保管等に関する法律②

 

 はい、今日は「法務局における遺言書の保管等に関する法律」の第二回です。

 読む前に、次のことを念頭に。

 条文2つなのに長い。

 実務的に大事なところかも。

 法律、政令、省令を間違えずに。

 では、いってみましょう!

  

 

 

(遺言書保管官)

第三条 遺言書保管所における事務は、遺言書保管官(遺言書保管所に勤務する法務事務官のうちから、法務局又は地方法務局の長が指定する者をいう。以下同じ。)が取り扱う。

 

 もうねぇ、わざととしか思えないネーミングですよ。

 遺言書ホカンカン

 え、パンダですか?

 「ホカンカンかわいい~」って遺言書保管所に行列できますよ。

 以下、愛情を込めまして、条文以外は、遺言書保管官のことを「ホカンカン」と表記します。

 

 

 第四条は長いので、項ごとに行きましょう。

 

(遺言書の保管の申請)

第四条 遺言者は、遺言書保管官に対し、遺言書の保管の申請をすることができる。

 

 保管の申請をできるのは「遺言者」だけです。

 遺言者以外の者による申請は、却下事由に該当します。(法務局における遺言書の保管等に関する政令二条一号)

 

 

2 前項の遺言書は、法務省令で定める様式に従って作成した無封のものでなければならない。

 

 法務省令で定める様式 → 省令9条で別記第一号様式によるものとされる → 別記第一号様式とは、以下のとおり。

 ・用紙は,文字が明瞭に判読できる日本産業規格A列四番の紙とする。

 ・縦置き又は横置きかを問わず,縦書き又は横書きかを問わない

 ・各ページにページ番号を記載すること。

 ・片面のみに記載すること。

 ・数枚にわたるときであっても,とじ合わせないこと。

 ・様式中の破線は,必要な余白を示すものであり,記載することを要しない。 

 

 特に、司法書士の皆さん!ホチキス止めはダメみたいですよ!お気を付けください!すきがあれば合綴しがちですから私たち。

 また、作成したものは、無封でなければいけません。

 様式に違反するもの又は無封でないものは、政令二条二号の却下事由とされています。

 

 はい、わかってます、記載例を見せろというご要望ですよね?

 別記第一号様式記載例はこちらです → http://www.moj.go.jp/content/001318459.pdf(法務省HP)

 え?ここで見せろ?

 わかりました。別記一号様式とその記載例です。

 ↓ 画像クリックで大きくなります。

 



 

 

3 第一項の申請は、遺言者の住所地若しくは本籍地又は遺言者が所有する不動産の所在地を管轄する遺言書保管所(遺言者の作成した他の遺言書が現に遺言書保管所に保管されている場合にあっては、当該他の遺言書が保管されている遺言書保管所)の遺言書保管官に対してしなければならない。

 

 東京の管轄を以下に記します。

 【九段下本庁の管轄】

 千代田区 中央区 港区 新宿区 文京区 台東区 墨田区 江東区 品川区 目黒区 大田区世田谷区 渋谷区 杉並区 足立区 葛飾区 江戸川区 大島町 利島村 神津島村 三宅村 御蔵島村 小笠原村 八丈支庁の所管区域

 【板橋出張所の管轄】

 中野区 豊島区 北区 荒川区 板橋区 練馬区

 

 葛飾区民の皆さんは九段下管轄ですよ~!

 東京以外はこちら → http://www.moj.go.jp/content/001319026.pdf(法務省HP)

 管轄違背は、政令二条三号の却下事由です。

 また、細かいことですが、宛先はホカンカンにするべきなんでしょうね。

 

 

4 第一項の申請をしようとする遺言者は、法務省令で定めるところにより、遺言書に添えて、次に掲げる事項を記載した申請書を遺言書保管官に提出しなければならない。

一 遺言書に記載されている作成の年月日

二 遺言者の氏名、出生の年月日、住所及び本籍(外国人にあっては、国籍)

三 遺言書に次に掲げる者の記載があるときは、その氏名又は名称及び住所

 イ 受遺者

 ロ 民法第千六条第一項の規定により指定された遺言執行者

四 前三号に掲げるもののほか、法務省令で定める事項

 

 【法務省令で定める事項】

  法務省令11条 法第四条第四項第四号の法務省令で定める事項は、次に掲げる事項とする。

  一 遺言者の戸籍の筆頭に記載された者の氏名

  二 遺言者の電話番号その他の連絡先

  三 申請をする遺言書保管官の所属する遺言書保管所が遺言者の住所地及び本籍地を管轄しないとき(次号の場合を除く。)は、遺言者が所有する不動産の所在地(当該遺言書保管所が管轄するものに限る。)

  四 遺言者の作成した他の遺言書が現に遺言書保管所に保管されているときは、その旨

  五 遺言書に法第九条第一項第二号(イを除く。)及び第三号(イを除く。)に掲げる者の記載があるときは、その氏名又は名称及び住所

  六 遺言書の総ページ数

  七 手数料の額

  八 申請の年月日

  九 遺言書保管所の表示

 

 これももう現物を見てもらった方が早いですね。

 申請書 ↓

 



 

 

5 前項の申請書には、同項第二号に掲げる事項を証明する書類その他法務省令で定める書類を添付しなければならない。

 

 前項第二号に掲げる事項】

  遺言者の氏名、出生の年月日、住所及び本籍(外国人にあっては、国籍)

 

 法務省令で定める書類】 

  法務省令12条 法第四条第五項の法務省令で定める書類は、次に掲げる書類とする。

  一 前条第一号に掲げる事項を証明する書類

  二 遺言書が外国語により記載されているときは、日本語による翻訳文

 2 法第四条第五項に規定する同条第四項第二号に掲げる事項を証明する書類及び前項第一号に掲げる書類で官庁又は公署の作成したものは、その作成後三月以内のものに限る

 

 前条第一号に掲げる事項】

  遺言者の戸籍の筆頭に記載された者の氏名  

 

 【結局】

  作成後三月以内の本籍地と戸籍の筆頭者が入った住民票でいいのでしょうね。

  (最初からそう書いてくれればいいのに…)

  本籍地や戸籍の筆頭者が入っていない住民票の場合は、別に戸籍を提出することになりそうですね。

  また、さりげない記載ですが、遺言書は外国語で構わないということですね。

  その場合は、日本語翻訳文が必要になると ( ..)φメモメモ 

 

 

 

6 遺言者が第一項の申請をするときは、遺言書保管所に自ら出頭して行わなければならない。

 

 ここも大事な規定ですね。

 郵送やメールではダメで、出頭せよということです。

 

 

 

 ふーっ。長かったですね。お疲れさまでした。

 

 今日のポイントは・・・

 

 「 遺言者自らが、様式に従った封もホチキス止めもしていない遺言と申請書と作成後3か月以内の添付書類を持って、定められた管轄の遺言書保管所に出頭して、ホカンカンに申請する 」

 

 「 遺言書は外国語でもいいよ 」(おまけ)

 

 です!!