おはようございます。
本日はよくある質問(※)Q102,103,106,107です。
※東京家裁の後見サイトに掲載されています。
Q102 私は後見人で,本人の妻ですが,二人の生活費を本人の預金から支出できますか。
→ 本人にあなたを扶養する義務がある場合(あなたに収入や財産がなかったり少なかったりする場合など)や,夫婦の協力の下でその預金が形成されたような場合(夫婦の収入を本人の預金口座にまとめて貯蓄していたような場合など)には,社会通念上相当な生活費を支出することができます。
Q103 私は成人していますが,精神的な病気のために就労できず,ずっと父の収入で生活していました。このたび父について後見が開始しましたが,引き続き扶養を受けることはできますか。
→ 本人にあなたを扶養する義務がある場合や,親族としての援助を継続することが相当であり,本人の意思にも沿うものと判断された場合などには,社会通念上相当な範囲内で,後見人の判断により,生活費を受け取ることができます。
Q106 本人は毎年孫に50万円ずつ贈与してきましたが,これからも継続して贈与してよいのでしょうか。
→ 後見人が,贈与を継続することが本人の意思に沿うものであり,本人の財産状況や他の親族の心情等に照らしても問題ないと判断した場合は,後見人の判断で贈与を継続して差し支えありません。その場合は,定期報告の際に贈与の事実についても報告してください。贈与を継続することが相当か否かについて判断に迷う場合には,事前に連絡票等を提出して相談してください。
Q107 本人が入っている施設に対し,これまで本人の財産から毎年10万円の寄付をしてきましたが,後見開始後も寄付を続けてよいものでしょうか。
→ 後見人が,寄付を継続することが本人の意思に沿うものであり,本人の財産状況等に照らしても問題ないと判断した場合は,後見人の判断で寄付を継続して差し支えありません。判断に迷う場合には,事前に連絡票を提出して相談してください。
後見人が就くと本人以外のためにはお金を使えない!
と、聞いたりしますが、そんなことはありません。
もちろん、理由もなく支出することは言語道断ですが、上記回答のように、理由があれば本人以外のためにお金を使うことができます。
あまりにも高額であったり、理由づけに疑問がある場合は、家裁に連絡票を入れて相談したほうがいいでしょう。
この部分は世の中に誤った解釈が拡がっているのではないでしょうか。
第三者のために支出する際に考えるポイントは、以下のとおりと考えます。
扶養義務
社会通念上相当
本人の意思に沿うもの
本人の財産状況その他の状況
後見人の判断
連絡票
扶養義務があるかいなか。なくても実行する理由がほかにあるか。
社会通念上相当な金額かどうか。
本人の意思に沿うものかどうか。
本人の財産状況や周囲の状況から許される範囲かどうか。
後見人として、どう思うか。
連絡票を入れるべきかどうか。
本人意思に沿って本人以外のためにお金を支出する場面は、財産を管理する後見人にとって、怖さがあります。
しかし、一切認めないとすれば、本人や周囲の方と軋轢が生じかねません。
本人と家裁と周囲の方と、すべて納得してもらえるような後見人活動が求められると思います。
ある意味腕の見せどころかもしれません。
髙野守道