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相続財産管理人の研修

 

 おはようございます。

 昨日はzoomで財産管理人の研修を受けました。

 講師は実践成年後見の企画委員会でご一緒させていただいてる熊本の井上広子先生でした。

 

 司法書士が財産管理人になることがあるのかと思われるかもしれませんが、各地の家裁の運用によっては、あり得ます。

 

 東京においては、私の知る限り、司法書士が選任される可能性のある財産管理人は、民法918条2項の相続財産管理人くらいでしょうか。私も選任されたことがあります。

 

 典型的なのは、成年後見制度終了後、相続人がいるかわからない、いるけど引き取ってくれない等の状況で、元後見人がそのまま財産管理を継続する法的な根拠がないため、選任されるケースです。

 

 昨日の研修で学んだのは、ここにも民法改正が絡んでいることです。

 

 民法改正により918条2項と3項は削除され、その内容は新設された897条2項に移ります。相続財産の保全のための管理人の根拠条文が変わることになります。

 

 そして、改正家事事件手続法190条の2が146条の2を準用し家裁で選任された財産管理人が供託をすることができるようになるので、民897条2項を根拠に家裁で選任された相続財産の保全のための管理人が供託をすることができるようになります(供託のための要件はある)。

 

 これは実務的には大きいと感じます。

 

 これまで918を根拠に選任された相続財産管理人は、相続人に対し、相続財産をなんとか引き継ぐ必要がありました。相続人がすぐに引き継いでくれれば問題がありませんが、何らかの事情で引継ぎに非協力的である場合は業務を終えることができず、一方で報酬は発生し続けるので(相続人にとって不利益)、専門職としての葛藤がありました。

 

 これが、供託で終わることができるようになるのです。供託で終われば余計な費用がかからずに相続人にメリットですし、管理人もすみやかな辞任が可能となりメリットです。

 

 改めて、改正関連の勉強は継続が必要であると感じた次第です。

 

 

 髙野