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申立に関する誰が誰

 

 成年後見等開始の申立をしようと思い、いざ申立書を見てみたら…。

 

 あれ?

 「本人」と「申立人」と「手続代理人」と「候補者」の欄があるけど、誰が誰?

 

 

 

 本人・・・これは、被後見人、被保佐人、被補助人になる予定の方です。つまり、認知症や精神疾患などで判断能力が衰えている方のこと。

 

 

 

 申立人・・・これは、今回の申立をする方です。本人が自ら申立てをする場合(その意思能力がある場合)は、本人と申立人が同じことになります。では、実際に申立をするのは誰なのか?後見開始の場合は、民法7条で申立人を「本人、配偶者、4親等内の親族、未成年後見人、未成年後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人、補助監督人又は検察官」としています。また、老人福祉法32条その他の法律によって、「市町村長」も申立ができます。

 昨年の実際のケースはこちら↓(「成年後見関係事件の概況」から)

 

 一番多いのは「子」による申立

 ほとんど変わらずに「市区町村長」による申立

 三番目が「本人」による申立

 となっています。

 

 ここで、「市町村長」に「区長」が突然入ってくることに違和感を覚えた方もいるかもしれません。実は、私はその一人です。調べたところ、地方自治法281条2項が根拠になるのかなと思いました。

 

 地方自治法

 第二百八十一条 都の区は、これを特別区という。

2 特別区は、法律又はこれに基づく政令により都が処理することとされているものを除き、地域における事務並びにその他の事務で法律又はこれに基づく政令により市が処理することとされるもの及び法律又はこれに基づく政令により特別区が処理することとされるものを処理する

 

 

 


 

 さて、申立ができる人として、4親等内の親族が挙げられていますが、これはどのあたりまで含まれるのでしょうか。

 実は、かなり広い範囲になります。

 

 1親等 本人の 親 子 

 2親等 本人の 孫 兄弟姉妹 祖父母

 3親等 本人の 曾孫 甥 姪 曾祖父母 おじ おば

 4親等 本人の 玄孫 いとこ 甥の子 姪の子 高祖父母 

 

 また、3親等内の姻族も親族に含まれるので、配偶者の父母や配偶者の甥、姪も含まれてきます。

 私の感覚では、とても広い範囲だと思います。

 ただ、実際は、上記のとおり、子、市区町村長、本人による申立が6割強を占めています。

 

 

 

 手続代理人・・・家事事件手続法に規定があります。

 家事事件手続法

 22条 法令により裁判上の行為をすることができる代理人のほか、弁護士でなければ手続代理人となることができない。ただし、家庭裁判所においては、その許可を得て、弁護士でない者を手続代理人とすることができる。

 2 前項ただし書の許可は、いつでも取り消すことができる。

 

 原則、弁護士だけということですね。

 例外は、保佐人が被保佐人の後見開始の申立をするときなどが想定されるでしょうか。

 

 

 

 候補者・・・文字どおり後見人等の候補者で、誰を記入しても構いません。資格等も不要です。ただし、あくまでも候補者であり、家裁がその候補者を選任するとは限りません。

 

 

 

 以上、申立に関する誰が誰でした。