法務局における遺言書の保管等に関する省令⑨

 

 はい、ということで、省令のうち、使いそうなものを確認していきたいと思います。

 

 

(添付書類の省略)

第七条  同一の遺言書保管所の遺言書保管官に対し、同時に数個の申請等(令第十条第一項に規定する申請等をいう。次条第一項において同じ。)、法第八条第一項の撤回又は閲覧請求等をする場合において、各申請書、各届出書、各撤回書又は各請求書に添付すべき書類に内容が同一であるものがあるときは、一個の申請書、届出書、撤回書又は請求書のみに一通を添付すれば足りる

2 前項の場合には、他の各申請書、各届出書、各撤回書又は各請求書にその旨を記載しなければならない

 

 同じ添付書面は省略していいよということですね。

 これで同じ住民票を複数枚取得して添付する必要がなくなります。

 ちなみに、同時に数個の申請等という具体的な場面は、どのような場面でしょうか。

 保管している遺言の撤回と新たな遺言の保管の申請を同時にするとき?

 死亡したAとBから、財産をあげると言われていた人が、AとBの遺言書の閲覧を同時に請求するとき?

 とか???

 想像力の世界ですね。

 

 

(添付書類の原本還付)

第八条  申請等、法第八条第一項の撤回又は閲覧請求等をした者は、申請書、届出書、撤回書又は請求書の添付書類の原本の還付を請求することができる

2 前項の規定により原本の還付を請求する者は、原本と相違ない旨を記載した謄本を提出しなければならない。

3 遺言書保管官は、書類を還付したときは、その謄本に原本還付の旨を記載し、これに押印しなければならない。

 

 はい、みんな大好き原本還付です。

 原本還付をすれば、原本が還付されます!

 つまり、戸籍や住民票を返してもらえるということです。

 反対に、これをしなければ当然のように回収されてしまいます。

 戸籍も住民票も取得するのにお金がかかりますから、原本還付をしておきましょう!

 

 

(保管証)

第十五条  遺言書保管官は、法第四条第一項の申請に基づいて遺言書の保管を開始したときは、遺言者に対し、保管証を交付しなければならない。

2 前項の保管証は、別記第三号様式により、次に掲げる事項を記録して作成するものとする。

 一 遺言者の氏名及び出生の年月日

 二 遺言書が保管されている遺言書保管所の名称及び保管番号

 

(保管証の送付の請求)

第十六条  遺言者は、送付に要する費用を納付して、前条第一項の保管証の送付を請求することができる

2 前項の場合における保管証の送付は、遺言者の住所に宛てて、郵便又は民間事業者による信書の送達に関する法律(平成十四年法律第九十九号)第二条第六項に規定する一般信書便事業者若しくは同条第九項に規定する特定信書便事業者による同条第二項に規定する信書便(以下「信書便」という。)によってするものとする。

 

 別記第三号様式↓

 

 まぁ、なんとシンプルなものなんでしょう。

 紛れもなく、間違いようもなく、保管証ですね。

 実際は右上にバーコードやQRコードが入るようですね。

 法務省のHPのパンフレットではそうなっています。

 

 少し不思議なのは、16条の「送付の請求」です。

 どのような場面が想像されるのでしょうか。

 パンフレットでも「手続終了後・・・お渡しします。」となっていますので、その場で交付なのだろうと思いますが。

 

 一応パンフレット該当部分を貼っておきます。↓

 

 大事なことが書かれていますね!

 家族に「遺言を保管してきたよ」と告げる際は、この保管証が便利ですって!!

 φ(..)メモメモ

 コピーを取って関係者に渡しておくのもいいかもしれませんね。

 


 

 

 

 このほか、省令は52条まで続きますが、省略します。

 すでに触れたものもありますし、あとは現実に必要になったときに確認することとして。。

 

 で、触れておきたいことが、あと1つあります。

 それは、省令の附則2条。

 

(経過措置)

第二条  この省令の施行前に作成された遺言書(長辺方向の余白がいずれも二十ミリメートル以上のものに限る。)については、この省令の施行の日から六月を経過する日までの間は、別記第一号様式備考第一号の規定中「日本産業規格A列四番」とあるのは「日本産業規格A列五番以上A列四番以下」と読み替えるものとし、同様式備考第四号の規定は適用しない

 

 省令の施行日 = 令和2年7月10日

 同様式備考第四号 = 片面のみに記載すること

 

 つまり、

 令和2年7月10日より前に作成された遺言書であって、

 長辺方向の余白が2cm以上あって、

 A5~A4の紙に書かれているものは、

 たとえ両面に書かれていたとしても、

 令和3年1月9日までは、

 適式なものとして扱う、

 ということですね!

 

 すでに書かれた遺言書であっても、上記の要件にあてはまれば書き直す必要がありませんよ!

 来年の1月9日までは!

 

 ん?1月9日は土曜日?

 ということは、行政機関の休日に関する法律1条1項と民法142条によって、1月12日(火曜日)まで延長されますね!

 

 

 

 以上、数回にわたり、法務局における遺言書の保管等に関する法律・政令・省令について確認をしてきました。

 これを持ちまして・・・

 

 え?

 

 再使用証明は可能なのか?

 遺言者死亡時に誰に通知するのか?

 いや、それは、その・・・

 遺言書保管事務取扱手続準則に書かれてまして・・・

 

 

 そうですか、わかりました・・。

 

 

 次回、準則についても少しだけ確認したいと思います。。