
後見等開始申立をしようと検討を始めたものの、何をどうすればよいのか・・・。
今日は、一つのパターンをご紹介します。
一つのパターンに過ぎませんので、すべてのケースがこのとおりになるということではありません。
あくまでもご参考までに。
本人の周りにご家族ご親族がいて、介護サービスなどを受けている(=福祉関係者がそばにいる)ケースを想定しています。
ここでは区長申立は想定していません。
上の図をご覧ください。
線の番号順にご説明します。
この番号は便宜上付しただけであり、特に意味はありません。
① 申立
ポイントは「誰が」です。
条文上では、4親等内の親族となっています。
4親等内の親族の例
・本人の 親 祖父母 曾祖父母 子 孫 ひ孫 兄弟姉妹 おじ おば 甥 姪 いとこ
・配偶者の 親 祖父母 曾祖父母 子 孫 ひ孫 兄弟姉妹 おじ おば 甥 姪
意外と広いイメージではないでしょうか。
② 本人申立
①の申立人がいない場合、あるいはいても本人が希望する場合などは、本人申立ということもあります。
いわゆる行為能力は求められず、意思能力があれば可能とされています。
例えば、類型が後見相当であっても、意思能力があれば本人申立が可能ということです。
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後見サイト『よくある質問』から
Q31 後見相当と診断された本人でも後見開始の審判の申立てができるでしょうか。
申立てに必要な意思能力を備えているものと認められた場合は,申立てをすることができますが,裁判所がそのような意思能力はないと判断した場合は,申立てが却下されることになります。
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③ 日々の支援
福祉関係者が日々の支援の中で対応しきれないこと(金銭管理など)への思案や、⑤の相談を受けることから話が始まるケースもあると思います。
④ 本人情報シート
昨年(令和元年)から設けられたものです。
これがあると申立書類の記載を一部省略できる扱いになっています。
そのため、重要な意味を持つものと、私は理解しています。
福祉関係者の皆様には、積極的に作成していただけますと書類作成者が助かります。
→診断書作成の手引き・本人情報シート作成の手引き (記載例あり)
→申立て書類一式 (後半に現物あり)
作成をしていただけましたら、医師に提供していただきます。
提供を受けた医師は後見用の診断書作成に役立てます。
また、本人情報シートのコピーを、書類作成者である弁護士・司法書士にお渡しください。(⑥)
⑤ 相談
ご家族ご親族と福祉関係者の相談から始まるかもしれません。
⑥ 相談・書類提供・依頼
⑤の相談を受けた福祉関係者から相談を受けたり、候補者就任の打診を受けたりします。
個人的に直接依頼されることもあれば、リーガルサポート(司法書士の場合。03-3353-8191)に入った依頼の紹介を受けます。
⑦⑧ 相談・依頼
候補者就任の依頼、申立書類作成の依頼、相談などを受けます。
⑨ 診断書
主治医がいれば主治医、いなければ他の医師に後見用の診断書を作成してもらいます。
主治医でない場合は、特に本人情報シートが有効になります。
⑩⑪ 鑑定
申立をした後、家庭裁判所が、鑑定を医師に依頼するケースがあります。
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家事事件手続法
第百十九条 家庭裁判所は、成年被後見人となるべき者の精神の状況につき鑑定をしなければ、後見開始の審判をすることができない。 ただし、明らかにその必要がないと認めるときは、この限りでない。
(2項省略)
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現実は、10%に満たない割合で鑑定がされています。
費用は5万~10万が多いです。
→成年後見事件の概況 (後半に鑑定のデータあり)
※非常事態宣言を受け、現在は、診断書作成時の医師に鑑定を依頼しているようです。(実体験)
上の図に当てはまらないケースもあると思いますが、ご参考になれば幸いです。
お気軽にご相談ください。