「成年後見制度を利用したいけど赤の他人が入ってくるのはちょっと…。」
わかります、この気持ち。
「できれば近い人に後見人になってもらいたい。子どもか誰か親族に…。」
これもわかります。
「ものの本によると、後見人というのは家庭裁判所が勝手に決めるらしく、思いどおりにならないらしい。」
これは・・・半分当たって、半分当たってないと思います。
後見等(保佐・補助を含みますので「等」という字が入ります。以下同じです。)を開始するときは家裁に申立てをする必要がありますが、その際に後見人等の候補者を申立書に書くことができます。
しかし、家裁の裁判官はその記載に縛られず、自由に後見人等を決めることができます。
その候補者が適していると思えばその候補者が選任されるでしょうし、その候補者が不適任と判断されれば別の専門職が選任されます。
つまり、思ったとおりの候補者に決まることもあれば、思いどおりにならないときもある、ということです。
例えば、父・母・長女・長男の4人家族がいたとします。
このうち、母が認知症になり、長女が、長女自身を後見人候補者として申立をした場合について、次の2つのケースを考えてみます。
ケース1
長女が長年母の身の回りの世話をしている。
母も長女のことを信頼している。
父及び長男も長女に後見人になってもらいたいと思っている。
ケース2
母の身の回りの世話はずっと父がしている。
結婚して実家を出ている長女はめったに実家に帰ってこない。
父及び長男は長女が後見人になる事に反対している。
この2つのケースで長女が後見人に選ばれる可能性は、違うと思います。(断定できないのは決定は家裁の専権事項だからです)
ケース1はケース2よりも長女が選任される可能性が高く、ケース2では専門職(≒弁護士、司法書士、社会福祉士)が選任される可能性が高いといえるでしょう。
後見人選任のパターンをまとめます。
1 候補者にもともと専門職を挙げている場合
2 候補者が空欄の場合
3 候補者に専門職以外(家族等)が挙げられている場合
1と2は専門職が選任される可能性が極めて高いです。(ほぼ100%)
3は、以下のような事情によって結論が変わると思います。(ほかにも判断要素はありますが主と思われるものを挙げます)
(1)家族が円満で後見人候補者が本人や推定相続人から支持されているか否か
(2)本人の居住用不動産売却や本人が相続人となっている相続手続など専門的な職務があるか否か
(3)本人の資産が高額か否か
上記のいずれかに当てはまっても、あきらめるのはまだ早いです。
親族後見人が選任される可能性はあります。
(3)は、支援信託という制度を使うことによって、親族後見人が選任される可能性があります。
(2)は、当初複数後見という形で専門職と親族がともに後見人になり、当初の1,2年は、専門分野の業務は専門職が担当し、日々の業務は親族後見人が担当する形で進め、専門分野の業務が終わった段階で専門職後見人が辞任し、親族後見人が残るという形です。
では、(1)はどうでしょうか。
実は、私は、この部分のハードルが想定よりも高いのではないかと推測しています。
成年後見制度利用について家族間に意見の相違があったりすると、(1)はクリアできず、裁判官が親族後見人を選任しづらくなるのは容易に想像できます。もし、私が裁判官だとしたら、違う意見の片方に法定代理権を付与することは躊躇せざるを得ません。
反対に、(1)さえクリアできていれば、(2)や(3)は一時期的に専門職が入るかもしれませんが、最終的には親族後見人が残る形をつくれる可能性がある、ということです。
成年後見人には親族はなれない。
家裁が勝手に決めた第三者がやってくる。
自分が後見人になれるのであれば利用したいと思うが、これでは利用できない。
あきらめよう・・・
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