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昨日のこと

おはようございます。
昨日、1人の女性がお亡くなりになりました。
場所は、京成立石駅でした。
午前10時半頃だったと思います。
遠くから消防車のサイレンが聞こえてきて、だんだん近づいたあげく、弊所の目の前のアーケードを走っているとしか思えない距離感になりました。私は、火事だと思い、どこが火事なのか確認するために下に降りて事務所の外に出ました。
すると、消防車が2台、すぐ近くに停車している様子が目に飛び込んできました。しかし、周りを見渡しても、火事の様子はありません。
 
なんだろうと思いながら改めて見渡すと、踏切付近の人々がホーム方向を覗き込んでることがわかりました。
駅で何かあったに違いないと思いながらも、現場は踏切の音だけが鳴り響くだけで、駅員が叫んだりレスキューがものすごい勢いで走ってるというようなこともなかったので、私は大したことはないだろうと思い、事務所に戻りました。
事務所に戻って携帯で調べると、京成立石駅で人身事故という情報が見つかりました。不思議なもので、それまで現場の静かさから緊張感がありませんでしたが、「人身事故」の4文字を目にしたら急に現実感が出てきて、もう少し情報が欲しいと思い、もう一度外に出ました。
 
駅に向かう道すがら、行き交う人々の「女の人だって…」という会話が耳に入りました。私は、まず、家族全員の安否を確認しました。つづいて、もう少し情報を得ようかと思いましたが・・・ここで、急に、強い不安が広がりました。
(知り合いかもしれない)
京成立石駅は自宅からも最寄りの駅なので、知り合いが利用している可能性が非常に高い駅です。
どうしようかと迷いましたが、現場の雰囲気がやはり「それほどでもない」ような感じだったので、私は再び事務所に戻りました。
閉まりっぱなしの踏切付近では、人々が困った顔をしていました。
お昼頃、郵便配達が来たので、踏切が開いたかどうか尋ね、踏切が開いたことを知りました。
配達員は疲れた顔をしているように見えました。
私は、日常に戻った気分になりました。
夕方、妻とのLINEで、死亡事故だったこと及び白杖をお持ちになられていたことを知りました。
その事実を知った私は、急に悲しくなりました。
場所が毎日のように自分が使う駅であること
その場所で人が事故で亡くなったこと
その亡くなられた方が白杖を持っていたこと
そして、昨日は普通の日であったこと
私は心から思いました。
「ホームドアを設置してほしい。」
残念ながら、これまでも同じようなニュースを耳にしています。耳にするたびに、悲しさとホームドアの必要性を感じてきました。しかし、それは、どこか他人事であったような気がします。
 
昨日、自分の近いところで同じような事が起こり、はじめて心から「ホームドアを設置してほしい。できるだけ早く。」と思いました。
考えてみれば、踏切の危険性とホームの危険性に大きな違いはないはずです。確かに、踏切は電車が「通過」していく場所であるのに対し、ホームは「停止」する場所かもしれませんが、快速電車はホームを「通過」します。しかし、ホームでは人々は危険にむき出しです。
 
たった一つの設備があれば
白杖を持った方が転落して・・というケースが防げます
幼い子供が落っこちて・・というケースが防げます
酔っ払いが誤って・・というケースが防げます
喧嘩して・・
病気で・・
先日、ラグビーW杯観戦に訪れている外国人が、日本の鉄道の正確さに驚いているというニュースを目にしました。
時間どおり、決まった場所に着く、と。
鉄道事業にかかわりがなくとも、日本人として、嬉しい話です。けれど、正確性だけではなく、日本の鉄道は安全性も備えたシステムなんですよと言えれば、完璧ではないでしょうか。
 
現在の世の中はその方向に進んでいると思いますが、一日も早い実現を希望します。
昨日、そんなことを考えながら、身近に発生しないと我が事として捉えられない自分の浅はかさを感じました。
軽々に「人に寄り添う」なんて言葉は使えない。
そんな自信はありません。