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配偶者居住権①

 

 配偶者居住権についてまとめました。

 

 参考書籍『家庭の法と裁判(Family Court Journal)号外  東京家庭裁判所家事第5部(遺産分割部)における相続法改正を踏まえた新たな実務運用

 

 施行日 → 令和2年4月1日(2020年4月1日)

  同日前に開始した相続 → 従前の例による

  同日前にされた遺贈  → 適用なし(附則10条)

 

 条文 → 民法1028条 被相続人の配偶者(以下この章において単に「配偶者」という。)は、被相続人の財産に属した建物に相続開始の時に居住していた場合において、次の各号のいずれかに該当するときは、その居住していた建物(以下この節において「居住建物」という。)の全部について無償で使用及び収益をする権利(以下この章において「配偶者居住権」という。)を取得する。ただし、被相続人が相続開始の時に居住建物を配偶者以外の者と共有していた場合にあっては、この限りでない。

 一遺産の分割によって配偶者居住権を取得するものとされたとき。

 二配偶者居住権が遺贈の目的とされたとき。

2 居住建物が配偶者の財産に属することとなった場合であっても、他の者がその共有持分を有するときは、配偶者居住権は、消滅しない。

3 第九百三条第四項の規定は、配偶者居住権の遺贈について準用する。

 

 創設目的 → 配偶者に居住建物の使用収益権限のみを認め、処分権限のない権利を創設することによって、遺産分割の際に、配偶者が居住建物の所有権を取得する場合よりも低廉な価額で居住権を確保することができるようにすること。

 

 成立要件 → 3つ

 ①相続開始時、配偶者が、遺産である建物に居住していたこと。

 ②当該建物が被相続人の単独所有または配偶者との共有であったこと。

 ③遺産分割・遺贈・死因贈与のいずれかがされたこと。

 

 配偶者 → 内縁関係は含まない

 

 居住していた → 生活の本拠としていたこと → 一時的な入院・施設入所は認められる可能性が高い

 

 遺産分割 → 協議・調停・審判を含む

 

 性質 → 法定債権 配偶者=債権者 建物所有者=債務者

 

 存続期間 → 原則、配偶者の終身 → 例外、有期も可能 → 有期とした場合は延長や更新が不可能

 

 権限 → 無償使用収益権限 → 賃貸して利益を出しても構わない → ただし、改築・増築・第三者に使用又は収益させるには、所有者の承諾が必要 

 

 配偶者の義務 → 善管注意義務を負う

 

 配偶者居住権の譲渡 → 禁止

 

 費用負担 → 通常の必要費を配偶者が負担する(保存に必要な修繕費・固定資産税など)

 

 登記 → 可能 → 原則、共同申請 → 調停・審判の場合は条項によって単独が可能と思われる

 

 対抗要件 → 登記のみ(引渡しは不要)

 

 死亡による抹消登記 → 所有者が単独で可能

 

 死亡以外の抹消登記 → 共同申請

 

 消滅原因 → 6つ

 ①配偶者の死亡

 ②期間満了

 ③建物の全部滅失

 ④所有者による消滅請求

 ⑤配偶者の単独所有(混同)

 ⑥放棄

 

 所有者の消滅請求 → 配偶者の善管注意義務違反や無断増改築等に対する是正の催告後可能

 

 

 明日に続く。

 

 

 祝!日本勝利!

 \(^o^)/