家庭裁判所物語 日本評論社 清永聡著
読みました。
家裁に関わる人にとって、そのルーツ・理念・理想・歴史に触れることのできる本ではないかと思います。
戦後の家裁設立時の話から東日本大震災時の話まで、現存人物のインタビューや残された記録などを交え、そこに自分が参加しているかのような臨場感で書かれています。
章立て
1章 荒廃からの出発
2章 家庭裁判所の船出
3章 理想の裁判所を求めて
4章 少年法改正議論
5章 闘う家裁
6章 震災と家裁
私が、日々、実際の現場でお会いする調査官の話なども載っています。
家裁の五性格
女性職員の話
戦争被害者の話
戦災孤児の話
少年法改正議論
法務省・家裁・日弁連・学者を交えた闘い
震災後の奮闘
戦後の当事者たちの熱い想いと奮闘ぶりは、戦争を知らない私の胸を熱くさせます。
ヒロポン中毒の戦災孤児を救うべく、中毒者の巣窟に一人で乗り込んだ女性調査官の勇気が私にあるだろうか。
震災一週間後、混乱した仙台家裁に「氏の変更」の申立てに来た母親。
その母の想いに触れた仙台家裁所長は、家裁の存在意義を思い出したと言います。
時代が移り変わるとも、その時その時の弱者に寄り添う裁判所が家庭裁判所なんですね。
「家庭に光を 少年に愛を」
当初の理念だそうです。