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民法改正2

 

 皆さまこんにちは。今回は、前回記事にてご案内した民法改正について書きますが、特に総則編についての説明です。

 

 総則編とは、民法全体のルールを定めている編のことで、民法は、総則編、物権編、債権編、親族編、相続編の5編から成り立ちます。今回の民法改正の多くは、判例法理を明文化したものです。つまり、改正されている条文の数は多いのですが、現行の民法と取り扱いは変わらないものが多いのです。

 

 総則編で、現行民法と大きく変わるのは、『錯誤』と『時効』の規定です。

 

 錯誤とは、俗にいう『勘違い』のことです。例えば、砂糖を買いにスーパーへ行ったものの、塩を間違えて買って来てしまった。このように、錯誤により内心と表示された意思が異なる場合、現行民法は無効だと規定しております。

 

 無効とは、契約は最初から無かったこととして扱うという意味なので強力です。間違えた人が物凄く保護されているのです。

 

 これを、間違えられた側をある程度保護するように変更したのが、今回の改正です。

 

 錯誤は取消しできると規定を改めました。取消しとは法律行為自体は有効を前提とし、取消すという意思表示をして、初めて法律行為を無効とする規定です。取消しには、時間制限があり、一定期間を過ぎれば行使できなくなります。すなわち、有効が確定します。

 

 錯誤を無効とする現行規定では、錯誤によって意思表示をされた側は全く保護されておりませんでしたので、改正によって保護される余地ができました。

 

 次に、時効について説明します。

 

 時効とは前述の錯誤取消しにおいても出てきた時間制限のことです。一定の時間が経過することにより、権利を得たり、失ったりします。

 

 得る方を、取得時効。

 失う方を、消滅時効といいます。

 

 単純な時間の経過で権利関係が変わってしまうので、民法では、時効の進行をリセットする手続きを用意しています。

 

 今回の改正では、時効の進行をリセットする手続きのところが大きく変わりました。

 

 変わったといっても細かい規定になりますので、『時効で、不動産を他人にもっていかれそう』とか、『時効で、金銭債権が消えてしまいそう』等、時効でお悩みの方は当事務所までお気軽にご相談ください。

 

 次回以降の記事で、債権編の改正をご紹介します。

 

 

 竹下洋一