成年後見関係事件の概況ー平成29年ー

※平成30年6月24日「後見人の属性」に関する数値を訂正しました。

 

 最高裁判所事務総局家庭局が、裁判所ホームページ内に、様々なデータを公表しています。その中に、「成年後見関係事件の概況」というものがあり、毎年公表されています。

 

 平成29年1月~12月の主なデータを見てみます。

 

 全体の申立件数 35,737件(対前年1,488件の増加)

 認容95.3%、却下0.4%、その他(取下げ等)4.3%

 審理期間 1か月以内47.2%

 

 申立人

 1位 子 27.2%

 2位 市区町村長 19.8%

 3位 本人 14.2%

 

 原因

 1位 認知症 63.3%

 2位 知的障害 10.2%

 3位 統合失調症 8.6%

 

 動機(複数回答可)

 1位 預貯金の管理・解約 83.2%

 2位 身上監護 37.6%

 3位 介護保険契約 19.8%

 4位 不動産の処分 18.4%

 5位 相続手続 17.3%

 

 鑑定

 実施率 8%

 鑑定費用

 5万円以内 57.8%

 5万~10万円 39.7%

 10~15万円 2.0%

 15~20万円 0.4%

 20万円超 0.1%

 

 後見人等の属性

 1位 司法書士 28.0%

 2位 弁護士 22.3%

 3位 子 14.2%

 4位 社会福祉士 12.4%

 

 成年後見制度利用者数(平成29年12月31日時点)

 全体 210,290人

 後見 165,211人 78.6%

 保佐 32,970人 15.7%

 補助 9,593人 4.5%

 任意後見 2,516人 1.2%

 

 

 注目点

 

 ・後見人等の属性の対前年比

  司法書士  +0.9ポイント

  弁護士   -0.9ポイント

  子     ー1.0ポイント

  社会福祉士 +0.9ポイント

  司法書士と社会福祉士の選任割合(信頼度)が上がっています。

  司法書士については、リーガルサポートの存在が大きいと思われます。

 

 ・鑑定費用が15万円を超えた件数 

  実施率8%≒2,858件

  15万円を超える確率 0.5%

  2858×0.5%≒14件

  全申立ての約0.04%

  これはもう不運と言うか…。どのような案件なのか、気になります。

 

 ・後見人等の属性

  子に限らず親や兄弟姉妹など「親族後見人」の%は、26.2%

 

 データで見る平成29年の成年後見事件でした。

 数字の列は細かい分析が可能となりますが、一件一件の具体的な背景まではわかりません。

 皆さんはどう読み解いたでしょうか。