· 

家裁推薦と地区紹介

後見について勉強したり研修を受けている間は、家裁からの推薦で仕事が来るものだと思ってました。ところが、現実は違います。

私が現在関わる10人のうち、家裁案件は…0です。はい、1件もありません。
家裁の推薦名簿には載っているので、いつか話は来ると思いますが…。

では、私の仕事がどこから来てるかというと、いわゆる地区紹介というものです。大まかな流れを言えば、まず、地域で後見を必要としている人が、地域の社会福祉協議会や福祉事務所や権利擁護センターなどに相談に行き、後見人候補者の紹介を頼みます。依頼された側は、これは弁護士、これは司法書士、これは社会福祉士、と割り振ります。この時の基準は、私の立場ではわかりません。わかりませんが、おそらく、紛争性が高く訴訟や調停が視野に入ってれば弁護士、不動産持ちは司法書士、身上監護重視なら社会福祉士、のような基準があるのでは?と推測いたします。

 
そこで、司法書士に頼むことになったらリーガルサポートに連絡が入り、そこから地区リーダーに連絡が行き、地区リーダーが案件の概要を見て、候補者(地区のリーガルサポート会員)に連絡を入れます。連絡を受けた候補者は、概要を聞いて、受けるか受けないか自分で決められます。
 

リーダーの振り分けは裁量ですし、候補者も断ることができます。断ったからといって、罰などはありません。むしろ、自分の力では無理、と判断すれば、断るべきでしょう。
仕事は地区紹介で、やるやらないは自由。勉強・研修と実務は違いますね。

 
さて、地区紹介を受けた司法書士は何をするかと言いますと、まず、ご本人やご親族と面談をします。そこで、何をして欲しいのか聞きとります。後見人候補者が必要なのか、書類作成者が必要なのか、とりあえず説明を受けたいのか。
事前に、大体のことは地区リーダーから聞いてますが、ご本人達の口から正確に聞き取ります。
1番多いのは、後見人候補者になった上で書類作成の依頼も受けることです。面談をして依頼を受けたら、書類を集め、記入します。
 
ある時、先輩との飲みニケーションのなかで、言われました。
「お前、書類を作ることで依頼人から報酬取るんだろ?素人が作った書類と見分けがつかない書類じゃ報酬取れないよな?」
ハッとさせられました。当たり前ですよね。
では、どこで差をつけるのか?
そんなに特別なことではありませんが、今、私の作る申立て書類と一般の方が作る書類では、ほぼ間違いなく違いがあると思います。そこが報酬の発生根拠です。
先輩との交流は勉強になります。プロ野球選手でいうところの、ベテランの技を盗むというやつです。
 

それが功を奏しているかはわかりません。
わかりませんが、これまでの申立てはスムーズにできてます。鑑定が入ることもありません。モノの本によれば、申立てから選任までンか月とありますが、我々が申立てれば早いと1週間で選任されます。(確定はさらに2週間必要ですが。保佐類型なら調査官の調査は入ります。)

そして、本日1番言いたいのはここからです!
東京家裁において、リーガルサポート会員が自らを候補者として申立てると、ほぼ確実にその候補者が選任されます!(聞いた話及び経験に基づくもの)
ということは…

後見人は選べる可能性がある!

そのためには
1候補者なしで家裁に申立てない
2事前に地域の社会福祉協議会や後見センターなどに候補者を紹介してほしいと相談する。この時軽く希望を伝えてみるのも一つの手ではないかと思います。例えば女性がいいとか、ベテランがいい、若い人がいい、など。必ず聞いてくれるわけではないかもしれませんが、伝える価値はあると思います。
そして、待ってると、連絡が来るはずです。候補者が決まりました!と。で、面談をしてみる。
(いいな)と思えばそのまま依頼。
(この人アカンわ)と思えば、検討しまーすと言って、後日、別の人を紹介してもらう。あるいは、ハッキリと別の候補者を紹介してほしいと言ってみる。
まあ、やり過ぎたら、その情報もこちらに流れてきて誰も候補者として手を挙げなくなる可能性もあるとは思いますが(^_^;)

なぜ、このような記事を書いたのかと申しますと、世の中には、後見制度に苦しめられている人が少なからず存在するようで、その原因の一つは後見人が信じられないことにあり、信じられない理由の一つが、どこの誰だかわからん奴が突然入ってくること、自分で選んでないことにある、と感じたからです。

現行制度が万全のものとは思いませんが、トラブルを回避できるかもしれない活用方法があることを知っていただけたらと思いました。

後見人をある程度選ぶことができ、申立て前から面談をし、課題や今後の方針を共通認識として持っておく。
これなら、本人、親族、後見人間で、トラブルが発生する可能性は低くなると思います。

実際に私は、申立て前の面談を、少なくて2回、多くて4回ほど行っております。
そして、「本当に私でいいのかゆっくり考えてください。嫌なら、私が帰ったあと、(社協など)相談した人に違う人がいいと言ってくださいね。」と伝えています。


候補者なしで家裁に申し立てない。
断ることのできないお見合いは、お互いにとって不幸です。
いまから申立てをお考えになる方は、各所に相談してみてください。
社協、福祉事務所、保健センター、後見センター、ケアマネさん。
直接リーガルサポートに相談していただいても構いません。
※この記事は、東京家裁及び私の周りでの話であること、家裁の対応はそれぞれ違う可能性があること、地区紹介の有無は各地域によって(都内でも)違いがあることを申し添えておきます。